【主張】児童ポルノ 根絶へ所持規制は不可欠(産経)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090627/plc0906270421002-n1.htm

児童ポルノ 与野党で法案の一本化を急げ(6月21日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090620-OYT1T01029.htm?from=y10

クローズアップ2009:児童ポルノ禁止法、改正案審議入り 「単純所持」で足踏み
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20090627ddn003010025000c.html?link_id=RSH03

 …まあ、概ね「単純所持規制」を急げみたいなくだりになっておるようです。
 それが世界の流れだから日本はこれ以上遅れをとるな、的な論調になっているのが目立ちます。
 意見が食い違う理由は「児童ポルノ」というものの解釈が一定化していないからだと思われます。そして、冤罪の可能性。
 
 まさか…
 「児童を守るためにはある程度の冤罪も仕方ない」
 なんて思ってる訳ではないですよね?


 今でさえ、逮捕された時点で、その後無罪が確定して釈放されたとしても「犯罪者」の烙印はそうそう消えません。「児童が性的虐待の被害を受けるのを防ぐ」ことには概ね賛成ですが、その結果、「一人の児童を守る」という名目で、まったく無関係な人の人権が踏みにじられるようなことがあってはならない。そう思います。
 だからこそ、「単純所持規制」の論議以前に「児童ポルノとは何か?」という部分をもっとしっかり煮詰めて欲しいと思います。これは日本だけでなく、世界全体で。
 各国政府、各種団体など、場所によって、「児童ポルノ」という言葉の意味がかなり食い違っている現状で、まともな話し合いができるわけもありません。
 
 …今一度「児童ポルノ」とその規制の存在理由を、見直す必要があるのだと思います。 (※余談参照)

 それはともかく、こちらをご覧ください
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◇各国の協力で抜け穴ふさげ--国連児童基金(ユニセフ)のサード・フーリー事務局次長の話

 日本で単純所持が処罰されない現状は、児童ポルノが商品として国際市場に出回る結果につながっている。今や自分の部屋で携帯電話で他国の子の性虐待画像を見ることができる。画像の世界的拡散を防ぐには、各国間の協力でさらに抜け穴をふさぐ必要がある。

 そもそも児童を性的対象とみて搾取する行為は、日本が選択議定書を批准した子どもの権利条約に反する。

 漫画などで児童を性の対象とすることも容認できない。表現の自由を尊重するあまり、子どもを性的な対象とすることを許せば、子どもの人権を深刻な危険にさらす。日本政府の取り組みに期待したい。
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 …しつこいようですが、日本でも児童ポルノの販売は禁止されています。
 なので、商品として出回ることはないはずです。まあこれも「児童ポルノ」がどこからどこまでのものを指すのか、によって違ってくると思いますが…。

>そもそも児童を性的対象とみて搾取する行為は、日本が選択議定書を批准した子どもの権利条約に反する。

 気になったので「子どもの権利条約」とやらを調べてみた。
 http://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_rig_pro.html#gitei1
 
 多分下記の「子どもポルノグラフティー」のことかな

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第1条(子どもの売買等の禁止)
締約国は、この議定書が規定する子どもの売買、子ども売買春および子どもポルノグラフィーを禁止する。

第2条(定義)
この議定書の適用上、次の用語は次のことを意味する。
(中略)
(c) 子どもポルノグラフィーとは、実際のまたはそのように装ったあからさまな性的活動に従事する子どもをいかなる手段によるかは問わず描いたあらゆる表現、または子どもの性的部位を描いたあらゆる表現であって、その主たる特徴が性的な目的による描写であるものを意味する
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 …この「子ども」というのは、実在する児童と同意ってことでいいんだろうか。
 どうもあいまいだなあ…どうとでも解釈できてしまいそうだ。
 しかし「子ども」=実在する児童だとしたら、この条文が示す限りでは、描かれている中に実在の児童=子どもが存在しない以上、


アニメ、ゲーム、漫画の二次元表現は『子どもポルノグラフティー』ではない


 ということになる。あまりにもあいまいすぎてよくわからん。
 でも…

>漫画などで児童を性の対象とすることも容認できない。
>表現の自由を尊重するあまり、子どもを性的な対象とすることを許せば、子どもの人権を深刻な危険にさらす。
>日本政府の取り組みに期待したい。

 だそうです。
 さり気無く「漫画」とか二次元に関する批判をしているところがまた抜け目のない。
 「子どもを性的な対象とすることを許す」ことと「子どもの人権を深刻な危険にさらす」ことに関連性が見出せません…。
 ワタシ的には「子どもの人権を深刻な危険にさらす可能性があるというだけで、まだ被害者も加害者もいない段階で「漫画(多分アニメ、ゲームも含むのだろう)を描いている/買っている/持っている」だけで取り締まること自体が「危険」だと思うのです。
 ユニセフみたいな、今となってはカルトに近い団体に容認してもらおうなんて思ってませんけどね。国内で容認されれば個人的には充分です。


 …と、締めたかったのですが…ユニセフをそういう方向にたらしこんだ勢力が別にあった模様。
 それに関しては長くなりそうなので後日…。
 
 しかし世界的に見て、ここまで「現実と虚構の区別がつかない人」が多いとはなあ…。
 二次元と三次元の区別がついていない彼らこそ「ゲーム脳」であって、普段からそんなことばっかり考えている危険人物なんじゃないかと思ってしまいますね。

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■余談

 ただ…姦淫=悪みたいな感覚が普通である某宗教的感覚からすると、児童どころかポルノそのものが『悪』とすることもあるので、世界全体で「児童ポルノ」の意味を一律化することは難しいでしょう。だからといって、それを『標準』とすることは、自分とこの『常識(宗教上の)』を他国に「押し付ける」ことに他ならないわけで…。
 日本人にとって、自慰行為に至る「異性を情欲の目で見ること」に何の問題があるんだ?と思われるかもしれませんが、たとえばキリスト教(カトリック)にとって、「自慰」も「異性を情欲の目で見る」ことも『姦淫』とされ、戒められている。つまり、このキリスト教(カトリック)を厳格に守る人々からすれば、「自慰」の原因になる「情欲の目で見ることを目的とされたもの(ポルノ等)」自体が罪悪であり、戒められるものであるというわけです。

 ちなみに、日本の刑法では、膣内に挿入…つまり、性行為に至って初めて「姦淫」ということになっています。
 (Wikipedia『姦淫』より抜粋)

 「姦淫」という言葉一つとっても、ここまで認識に違いが出るわけです。
 ましてや、何がいいか悪いかなんて、国どころか地方、人によって違ってきます。
 これで世界的に統一見解を出せ、なんてのが無理なのはよく分かると思います。


 だとすれば、それを認識した上で、どうするか考えるしかないと思います。
 人、地域、国によって認識が違うのですから、そういう中で、「児童を性的搾取/虐待の被害から守る」ためにはどうしたらいいのか…立場の強い国が、自分達の理屈を押し付けるのではなく、違いを認識した上で、最大公約数的な妥協点を見出してこそ、協力できるのではないかと思います。
 …まあ、そんなことができるようだったら戦争なんて起きませんよね(汗)