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 レストランの店舗やサービスをユーザーが口コミとしてレビューするサイト「食べログ」で、いわゆる「やらせ」が発覚し波紋が広がっている。この種の不正は食べログやレビューサイトに限らず、ネット上で過去に何度も繰り返されている。それが減らないのは、構造的な問題があるからだ。不正が続けばネット上の情報の信頼性が大きく崩れる恐れもある。

■やらせ問題は今までもあった


やらせの背景には構造的な問題がある。画面は「食べログ」のサイト
 今回不正の舞台となった食べログだけでなく、多くの人はリクルートの「ホットペッパー」、宿泊サイトの「楽天トラベル」や「じゃらんnet」、さらに「カカクコム」や「アマゾン」など、サイトにある口コミを参考にしているはずだ。

 口コミを利用するのは、実際に利用した人の生の声があるからで、口コミが金銭による好意的な評価やランキングだとしたら、広告となんら変わらない。だからこそ、本来ならば自然な格好で書き込んでもらう手法が使われる。広告にもかかわらず口コミに見せかける手法は「ステルスマーケティング」と呼ばれ、批判されている。

 今回の報道では、飲食店の一部がやらせを行う不正な事業者の営業を受けて、不正な書き込みを依頼していたことが明らかになっている。店舗やサービス提供側は、消費者の評価に来客や売り上げが左右されるから、「なるべくいい口コミを書いてほしい」という気持ちがある。ここに不正事業者が付け入る隙が生まれる。

 発覚すれば大きなダメージがあると分かっていながら、やらせは何度も繰り返されてきた。2006年には米ウォルマート・ストアーズがPR会社と取り組んだブログキャンペーンがやらせであったことが発覚して世界的に問題になったにもかかわらず、日本でもいくつかの企業がやらせに手を染めた。

 典型的なものは2009年のグーグル日本法人による「急上昇ワードランキング」のプロモーションで、「PayPerPost(ペイパーポスト)」と呼ばれるブロガーに報酬を支払い記事を書かせた例がある。問題はブロガーによって指摘され、英語化されてグーグルの米国本社を巻き込んだ騒動となった。結局、グーグル自身のポリシーに反していたことが分かり謝罪することになった。これは口コミマーケティングがレビューサイトの問題にとどまらず、検索エンジンにも広がることを意味した。情報を検索する際に上位に表示されるサイトが「金で買われた」ものなら、誰も検索結果を信用しなくなる。

 食べログは信頼性を維持するためにシステム構築など対策を取っている。しかし、やらせが繰り返された結果、レビューサイトや口コミサイトの公平性は疑われ始めている。

 今回の一件が知られるようになると、掲示板や「ツイッター」に「そもそもレビューは信じていない」といった書き込みが見られた。筆者は大学でメディアリテラシーを講義しており、ステルスマーケティングの問題を扱ったが、このときも「ウソがあると思いながら利用している」という複数の声があった。

メディアリテラシーの観点から言えばどのようなメディアの情報でも100パーセント信じるのも問題だが、信頼感が維持されなければ、ネットを身近な情報ツールとして活用することが難しくなる。

■広告主や事業者も関わる構造的な課題

 よい口コミだけを欲しがる広告主と不正事業者の行為は、結果的に広告主の首を絞める行為だが、なぜ減らないのか。そこには口コミマーケティング業界に関わる構造的な問題が横たわるからだ。

 口コミでプロモーションしようとする事業者は、扱うのが口コミだけに多数の書き込みと広告主への営業という人海戦術でカバーでき、新規参入が容易である。ソーシャルメディアには詳しくても、広告倫理や景品表示に関する知識が乏しく、無自覚なままステルスマーケティングを実施していることもある。

 口コミは広告代理店の商品の一部として取り扱われることも多い。広告代理店はこれまでメディアを買う(テレビや新聞の枠に広告を掲載する)仕事をしてきた。その考えの延長でネットの口コミも「買える」と考える人もいる。また、テレビや雑誌のタイアップや番組中に製品を宣伝するプロダクトプレイスメントなど関係性をなるべく見えなくして自然に紹介するなど、以前から存在しているプロモーション手法をネットに持ち込むこともある。

 広告主側にも問題がある。一番の問題は担当者がソーシャルメディアをやったことがないにもかかわらず「ソーシャルメディアで何かやりたい」と手がけたり、「いいことだけを書いて欲しい」「書き込み数を保証してほしい」といった結果を求めたりする。広報や宣伝部ではなく、事業部が直接取り組むケースではメディアや広告を扱う経験不足もある。

 口コミが書き込まれるレビューサイトやQ&Aサイト、ブログ、交流サイト(SNS)などのプラットフォーム運営者は、一部を除いて対応に消極的だ。例えば、ヤフーは「Yahoo!知恵袋」に関するやらせの口コミに関して、以前の報道で指摘されながらも表立った対応はしていない。プラットフォーム運営者にとって、システム構築や膨大な書き込みのチェックには多大なコストがかかる。残念なことだが、レビューの健全性を重視しようとシステム改良や監視を行うサイトとそのままにしているサイトは、ユーザーから区別はつかない。

 そして、情報を発信するユーザー自身にも問題はある。ブログの開設者のなかには、相手からお金や豪華なサービスを受けて良い口コミを書いていたり、アルバイトとしてレビューサイトの書き込みやタレントにサンプルを配ったりしている。無自覚に不正に加担している状況もある。

 口コミに関わる事業者、広告代理店、広告主、プラットフォーム運営者、ユーザー自身、それぞれの課題が積み重なり、ネットという自由に表現し、ビジネスの場になる「共有地」の信頼が失われるという悲劇が生まれている。

(以下略)
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…だらだらと長く書いてあるけど。


何を今更……としか言いようがない。


>この種の不正は食べログやレビューサイトに限らず、ネット上で過去に何度も繰り返されている

ネット上どころか、ネットなんかない時代からずっと繰り返されてるでしょ。
テレビ、新聞、雑誌、書籍…噂話なども含めて、全てにおいて、その「情報」なんてのは、発信側の「誘導したい方向性」が加味されてるもんだ。
そこから、自分に有用な情報だけを取り出す作業が必要なのは、なにもネットには限らない。


>それが減らないのは、構造的な問題があるからだ。不正が続けばネット上の情報の信頼性が大きく崩れる恐れもある。

それは果たして「不正」というほどのものなのだろうか。
発信されてる情報なんてのは、「発信側の誘導したい方向性」が加えられていないものなんて「ない」と言ってもいいくらいなんだから、それがあること前提で接するべきなんだと思います。

…というか「利益」を考えない情報の発信なんて基本的にありえるのだろうか?


…うーん。そう考えてしまうのは、ワタシがひねくれてるからなのか?


基本的に、出版社や新聞社といった「企業」を通してる「テレビ・新聞・書籍」なんてのは、大体何らかの利益を考えて発信されているのは確実でしょう。企業利益や、そこに出資しているスポンサーの利益とかね。

しかし、ネットでは、1個人でも情報を発信することができるので、それらに比べたら、「誘導したい方向性」の弱い情報が手に入りやすい場所ではあると思いますが…。


それよりも、なんで、やらせみたいなことをやりたがるのかと言えば、やっぱり「それが有効である」と思われているからだと思うのです。
「広告」だと分かると、人間は、売り込まれないようにバリアを張ってしまうものだしね。
そういう意味では、広告というのは、いかに「単なる売込み」だと思わせないか、というのが重要になってくるのだけど…
その一番有用な方法が、一般人の「感想」だと思わせる方法なのではないかと思います。


規制やガイドラインなんか設けたって、多分、それをかいくぐる形で、今後も「やらせ」ってのは続いていくでしょう。
そりゃ当然だろう。ネットだけでなく、現在進行形で続けられてることなのだから。


…そう考えると、やっぱり「情報を受け取る側」の方が気をつけるしかないのだと思いますけどね。





有用な情報が「タダで簡単に手に入る」と思うこと自体が大きな間違いだと思う。
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