アニメというものが「まんが映画」とか呼ばれていた時代から数十年が経過した。
その歴史は短くもなく…色々な作品が生まれ、そして消えていきました。

よくある勘違いが「昔は良作ばっかりだった」という奴。

その頃を「過去」としている今、上がってくる「過去の作品」の評価など、大抵は色眼鏡を通して観ているし、その「過去の作品」として語られるモノにしたって、その水面下では数多くの駄作に近いものが埋もれているものである。そして、アニメをとりまく状況、環境も今と昔は大きく違う。

だからこそ、今と過去は単純に比べることはできない。


…とはいえ、特にTV放映を中心とした「アニメ」の存在というのは、深夜系中心になってからは、明らかに、売り方といい、ターゲットとしている視聴者層といい、傾向が違ってきているのは事実かもしれません(それがいいか悪いか、というのはまた別の話)。
大体20年くらい前のアニメって、3ヶ月で終了するなんてほぼありえなかったし、あったとしてもソレは大抵「不人気による打ち切り」の結果だったりするしね…。


というわけで、ちょっと前の記事になるけど、そんな「アニメ」業界のお話。

JCASTニュース(2011/11/22)

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   世界中で大ヒットしたアニメ映画「攻殻機動隊」などの監督、押井守さん(60)が現在のアニメ作品について「オタクの消費財と化し表現の体をなしていない」と批判した。
   ネットではこの発言に納得する人もいるのだが、自分達の好きなアニメを批判していると感じたアニメファンは「押井こそオワコン(終わったコンテンツ)」などと押井さんに対する盛大な批判を展開している。
ほとんどのアニメはオタクの消費財と化した
   押井さんは1983年に劇場アニメ映画「うる星やつら オンリー・ユー」で監督デビューした。「機動警察パトレイバー」「攻殻機動隊(GHOST IN THE SHELL) 」「イノセンス」など数多くの作品をリリースしていて「攻殻機動隊」については95年にアメリカでホームビデオ週間売上1位を記録する快挙を遂げた。「マトリックス」など海外の映画にも多大な影響を与えている。
   朝日新聞は2011年11月21日付けの電子版コラム「アニマゲ丼」で、押井さんの東京芸術大学大学院映像研究科での講演(11月12日開催)を紹介した。講演で押井さんは
「僕の見る限り現在のアニメのほとんどはオタクの消費財と化し、コピーのコピーのコピーで『表現』の体をなしていない」
と語ったという。つまり、制作者には新たな創造性や、作品を通じて訴える思想的なものが欠如し、過去にヒットした作品の焼き直しばかり。例えば「萌え」が流行すればそうした作品ばかりになっている。また、今のアニメはオタクと呼ばれるファン層に媚びたものが多く、こうしたことから「表現」が制作者から無くなった、という批判だ。
   確かに11年9月から始まった20本近い新作テレビアニメを見ると、さえない男性主人公の周りに美少女が群がる「ハーレムアニメ」が驚くほど多く、過去にヒットした「ハーレムアニメ」作品と共通する内容がかなり多い。
宮崎駿監督も過去の作品のコピーに嘆いていた
   実は、過去のヒット作品を真似たものが増えていることについては、以前から警鐘が鳴らされていた。宮崎駿監督はベルリン国際映画祭で「千と千尋の神隠し」が金熊賞(グランプリ)を獲得した02年2月19日、記者会見を開き、記者から日本アニメの世界的な地位を質問されると、「日本アニメはどん底の状態」とし
「庵野が自分たちはコピー世代の最初と言っていたが、それより若いのはコピーのコピーだ。そうしたことで(アニメ業界が)どれだけ歪んでいて薄くなっているか」
などと答えている。庵野というのは大ヒットアニメ映画「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明監督(51)のことだ。
   今回の押井さんの発言についてネットでは
「萌えクソアニメの乱発は誰が見ても異常」
「アニメ業界が飽和しすぎで、コピー品を粗製乱造しなきゃ回らなくなってる」
「売らなきゃ食っていけないからな。安定して売れるのがオタク向けの萌えやエロ」
などと納得する人もいるのだが、現在主流となっているアニメのファン達は、自分達の趣味趣向、好きなアニメを批判するのは許せない、と激しく反発。しかし理論で立ち向かえないからなのか
「押井のアニメくそつまんねーんだよ」
「押井も信者向けの消費財じゃん」
などといった作品批判や、人格批判へと発展し、大混乱となっている。
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